簡易マニュアルでは本ヘッダーの基本的に使う部分だけを簡単に紹介します。
恐らくほとんどのユーザーはいままで調を決めるのに
例えば、キーがEなら、「KeyFlag+(cdfg)」と打ち込んでいたでしょうが、
本ヘッダーを使えば、簡単に入力できます。
例えば、キーがEなら、「BS_E」と打ち込むだけです。
他も同じ、キーがCなら、「BS_C」です。
キーがC♯の場合は「BS_Cp」です。(「♯」は「p」に置き換えて入力してください。)
また、同じキーC#でも、「BS_Db」と入力することもできます。(「♭」は「b」に置き換えて入力してください。)
今まで転調してきた人はおそらくKey(1)やTimeKey(1)を入力し、手軽に済ませていたことでしょう。
ただし、これらはリズムトラックにも影響してしまい、
ドラムの音がひっちゃかめっちゃかになるという経験はしませんでしたか?
本ヘッダーではリズムトラックに影響なく入力することが可能です。
TimeKeyの代わりに「BS_K(x)」もしくは「BS_KEY(x)」で入力することで、
「x」に転調したい値をいれてください。「BS_K(2)」だと2半音上に転調します。
また、「BS_K(-4)」だと4半音下に転調します。
「BS_K(x)」はTimeKeyやKeyと併用することが可能です。
また、1半音だけ上に転調したい場合は「BS_KUP」か「BS_UP」。
1半音だけ下に転調したい場合は「BS_KDOWN」か「BS_DOWN」が使用できます。
例えば、曲中に「まず1半音上に転調。次のフレーズで3半音下に転調する。」という
2回転調させる箇所があるとしましょう。
最初にTimeKey(1)を打ち込んで、音符を入力していった後、
また、転調するときに「あれ、現在のTimeKeyはなんだっけ?」と不安になり、
確認するために元の値を文章だらけのMMLの中から探しださなければなりません。
本ヘッダーではそんなわずらわしさすらも解消の対象です。
本ヘッダー使用時には「TimeKey」の代わりに「BS_K」を使いますが、
それとまったく同じ命令があります。それが「BS_K2(x)」と「BS_K3(x)」です。
(「BS_KEY2(x)」と「BS_KEY3(x)」でも可能。)
本ヘッダーは「BS_K(x)」、「BS_K2(x)」、「BS_K3(x)」によって転調される具合を
別々に管理しているので、先ほどのような場合には、
まず、「BS_K(1)」を打ち込んだ後、次に「BS_K2(-3)」を打ち込んでやれば、大丈夫です。
変数の管理が苦手な人は助かる機能ではないでしょうか?
また、こちらも同じように「BS_K2UP」、もしくは「BS_K3UP」で1半音上に転調。
「BS_K2DOWN」、もしくは「BS_K3DOWN」で1半音下に転調できます。
転調でよく使われるパターンの一つに同主調転調というものがあります。
これは短3度の移調のことです。(=3半音の移調)
これは「BS_TK(x)」で行えます。(「BS_TKEY(x)」でも可能。)
例えば、BS_TK(2)で6半音上に転調したりするのですが、
BS_TK(5)とかで軽く15半音上に転調してしまうので、
後述の「オクターブの調整」の「BS_O(x)」でオクターブ単位でキーを修正してください。
同主調転調は4回行うと、最終的には元のキーに戻ってこれることから、
非常に便利な転調であり、(4*3=12=1オクターブ)
多くのコンポーザーがときたま使う転調テクニックでもあります。
同じく転調の一つのパターン。
機能的にはchord5.hにおける「Trans(x)」と変わりません。(=5半音の転調)
これは「BS_FK(x)」で行えます。(「BS_FKEY(x)」でも可能。)
実際には「x*5」の値だけ転調しますが、
xの値が大きくなって、全体的な音程が上がりすぎるのを防ぐために、
本ヘッダーが自動でオクターブを調整します。
本ヘッダーの修正が自分にとって逆効果だった場合、
後述の「オクターブの調整」の「BS_O(x)」でオクターブ単位でキーを修正してください。
5度圏転調は♯、♭の数が一つしか変わらないため、
メロディやコードの組み方次第によっては、
転調したことをわかりづらくすることができるため、
非常におもしろい効果を生み出すことができます。
また、「BS_FK(1)」にすると、キーがCからFになります。
「この進行は4度進行でないの?」と思うかもしれませんが、
FからしてみればCは5度の関係なのです。
この理屈については
「5度圏左巻き進行(=サイクル・オブ・フィフス、Cycle Of 5th)」
を知ると分かりますので、興味のあるかたは調べてみてください。
全体を1オクターブ上げたいなどの操作を行うこともできます。
「BS_O(x)」でxの値だけオクターブの上げ下げを行うことができます。
(「BS_OCTAVE(x)」でも可能。)
また、単純に1オクターブ上げたいだけなら、「BS_OUP」。
1オクターブ下げたいだけなら、「BS_ODOWN」でも可能です。
5度圏転調(=「BS_FK(x)」)では
ヘッダーが自動的にオクターブの補正を行うため、
その自動補正が気にいらない場合はこれらのコマンドで手動補正が可能です。
メジャースケールは「BS_SCALE_MAJOR」。
マイナースケールは「BS_SCALE_MINOR」で設定できます。
もちろん曲中に長調と短調の変更も可能です。
ちなみにキーがCにおいて、メジャースケールは「ドレミファソラシ」。
マイナースケールは「ドレミ♭ファソラ♭シ♭」です。
また、この後は見易さを重視するため、
スケール名は原則英語表記にしていきますので、
メジャースケールMajor Scale。
マイナスケールはMinor Scaleと書きます。
ここまで機能があると、今何の調なのかとかさっぱりわかんなくなってしまいますよね。
そこで、本ヘッダーには現在の情報を表示する機能があります。
それは「BS_PRINT」です。では実際に使ってみましょう。
を再生してみると、
と表示されます。画面を見れば、簡単に分かりますが、一応解説します。
1行目:[現在のパラメータ(Time:1920)]
数値的なパラメータという題名です。
Time:1920は今のTimeの値を表示しています。
TimeBase=480なので、4分音符=480。
l8 cdefgabrで1小節分なので、4分音符×4=1920です。
2行目:キー:(D ) オクターブシフト(BS_O):-1
「BS_D」が「キー:(D )」に反映されるわけですね。
BS_O(-1)も後ろのオクターブシフトに反映されてます。
3行目:短3度転調(BS_TK):1×3→3 5度転調(BS_FK):2×5%12→-2
BS_TK(1)が「1×3」の「1」に来ています。
「→3」は実際に転調している値です。(1×3=3)
BS_FK(2)が「2×5%12」の「2」に来ています。
「→-2」は実際に転調している値です。(2×5=10。自動補正で1オクターブ下で10-12=-2。)
4行目:半音転調(BS_K,BS_K2,BS_K3):(1,2,3) スケール修正値:(0,0,0,0,0,0,0)
「半音転調(BS_K,BS_K2,BS_K3):(1,2,3)」では、図の通り、
「(1,2,3)」の「1」は「BS_K(x)」の値に対応し、
「(1,2,3)」の「2」は「BS_K2(x)」の値に対応。
「(1,2,3)」の「3」は「BS_K3(x)」の値に対応しているわけです。
スケール修正値に関してはここでは解説しません。
5行目:スケール:Aeolian(Minor)(-1,-1,0,0,-1,0,0)(7音)
「BS_SCALE_MINOR」は「Scale:Aeolian(Minor)(-1,-1,0,0,-1,0,0)(7音)」に反映されます。
「Aeolian」というのはMinor Scaleの別名。
「(-1,-1,0,0,-1,0,0)」は実際に行われているKeyFlagの修正。
「(7音)」というのはスケールが7音で構成されているということです。
(世の中には5音や8音で構成されているスケールもあります。
6行目:スケールの構成音:(cde-fga-b-):()
また、「Scale:[Aeolian(Minor)(cde-fga-b-):()]」ですが、
「Aeolian(Minor)」はスケール名。
「(cde-fga-b-)」はそのスケールの構成音を表しています、
(Minor Scaleは「ミラシ」が♭になる。)
「:()」は、8半音以上のスケールの際に使いますので、
これも解説せず、後の章で解説したいと思います。
7行目:現在の結果:Key:[A ] 転調値:[-5]
実際数えてみるとわかりますが、
半音転調:BS_K+BS_K2+BS_K3=1+2+3=6半音転調 Key:[A ] 転調値 |
つまり、現在のキーは「A」。
値の上での転調は「-5」なので、「c ド」の5半音下の「g ソ」に対応する。
つまり、「cdefgab」は「ド」からスタートではなく、5半音下の「ソ」から始まります。
BS_PRINTを使うと現在のbwb_scale.hの使用状況が簡単に把握できるので、活用してください。